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ココカラ夫婦物語(連載)

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夫婦問題カウンセラー 高草木 陽光

Aさんが『死後離婚』を選択した理由

2年~3年ほど前から、『死後離婚』という言葉を耳にするようになりました。

私のところにも、このテーマに関しての取材が殺到し、この3年間で新聞や雑誌、テレビ局を合わせて20件以上の取材に応じてきました。

『死後離婚』という、このインパクトが強い言葉は、実はマスコミ関係者がつくった“造語”です。

私は以前から、この『死後離婚』という言葉に違和感があり、どうしてもなじむことができないでいます。

なぜなら、死後に離婚はできないからです。

仮に配偶者が亡くなったとしたら、それは離婚ではなくて、「婚姻関係が“終了”する」という捉え方をします。

ところで、『死後離婚』とは、どのようなことを指すのかご存知でしょうか。

メディアで伝えられている『死後離婚』とは、“姻族関係終了届”を提出した人に対して使われているようです。

「姻族関係終了届」とは、配偶者との死別後、市区町村役場に提出することで、配偶者の姻族(親、兄弟など)との関係を終了することができる手続きのことです。

亡くなった配偶者と縁を切るということではありませんので、遺族年金や相続などには影響はありません。

1:Aさんが『死後離婚』を選択した理由

北関東にお住まいのAさん(女性)55歳は、3年前に夫を47歳の若さで亡くしました。

結婚生活25年。2人の子どもは成人し、独立しています。

Aさんは、これまで義母や義姉から、幾度となく冷淡な扱いをされてきました。

Aさんは夫よりも5歳年上だったのですが、そのことを快く思っていなかった夫の両親や姉の反対を押し切っての結婚だったからです。

ですが、夫は常にAさんの味方になってくれました。

キツいことを言う両親と、Aさんの間に立ち、仲介役をしてくれていたのです。

ですが、夫が3年前に亡くなってから、義母や義姉のAさんへの当たりはますます強くなっていったのです。

そんなとき、Aさんは「姻族関係終了届」という手続きがあり、配偶者の姻族と“縁が切れる方法”があることを知ります。

「義母や義姉と縁を切りたい」「今後、関わりたくない」「介護もしたくない」。

そういった思いから、姻族関係終了届を役所に提出したのです。

 

2:Aさんの胸中

姻族関係終了届を提出し、ホッとしたものの、Aさんはいくつかの不安を抱えていました。

何かと干渉してくる義姉の家は、Aさんの自宅から車で20分くらいの場所にありますが、夫の実家は車で10分程度しか離れていません。

普段の生活を送るぶんには、顔を合わせることはないので安心ですが、それでもすぐに行き来できる距離なので、Aさんとしては気が気ではありません。

「お盆や年末年始の付き合いはどうしたらいいのか?」、「電話があったら、どう対応したらいいのか?」「届を提出したことを相手側に伝えるべきか?」など、考え出したらキリがなく不安が押し寄せてくるのでした。

実は、姻族関係終了届というものは、届を提出した側のみ、その事実を知ることとなります。つまり、出された側は、こちらが知らせないかぎり、(または、戸籍謄本を確認しないかぎり)その事実を知ることはありません。

 

3:夫の姻族への対応の仕方

「姻族関係終了届を提出したことを、夫の親や兄弟に伝える方がいいのか否か?」ということに関しては、ケースバイケースです。

私は、あえて伝える必要はないと考えています。伝えることが必要な“タイミング”がきたら伝えればいいのです。

では、「普段の付き合い方はどうしたらいいのか?」ということですが、嫌がらせや、無理な要望をされたら、毅然とした態度で意見を述べたり、お断りしたりすればいいだけです。

それで、自然に付き合いがフェードアウトしていけば理想的ですが、あまりにもしつこかったり迷惑だったりする場合は、姻族関係終了届を提出した事実を伝えましょう。

お盆や年末年始の付き合いも、自分がお断りしたいと思うのなら「今後、一切のお付き合いをご遠慮させていただきます」というようなお知らせを送るのも1つの方法です。

要は、“縁切り宣言”ですが、そのくらいの覚悟をもったうえで、姻族関係終了届を提出する必要があるということです。

 

4:「死後離婚」と言われたくない

先にご紹介したAさんを含め、姻族関係終了届を提出したからといって、「死後離婚と言われたくない」という人も少なくありません。

「夫の親や兄弟とは縁を切りたいけれど、亡くなった夫との思い出は大切にしたい」という気持ちの人も大勢いるということです。

また、姻族関係終了届を提出する人のことを、「鬼嫁」とか「薄情者」という捉え方をする人たちが少なからず存在することも事実です。

ですが、そういった多くの人たちは、残された配偶者が姻族関係終了届をどんな思いで提出するに至ったかということを積極的に知ろうとはしません。

配偶者を亡くした後の妻や夫が、今までどんな思いで過ごしてきたか、そして今後どんな人生を送ろうとしているのか……それは、他人がとやかく言う問題ではなく、理解してあげる心が大事なのだと思います。


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講座のイラストを制作されているのは多田 景子(ただ・けいこ)さんです。

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イラストレーター 多田 景子 ホームページ

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